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セックスボランティア

セックスボランティア

セックスボランティア
河合 香織
セックスボランティア
定価: ¥ 1,575
販売価格: ¥ 1,575
人気ランキング: 52026位
おすすめ度:
発売日: 2004-07-01
発売元: 新潮社
発送可能時期: 通常24時間以内に発送


重大なテーマと安易な障害者観の混在
「性欲を持ちつつも、障害のためにその充足が困難な者に対しては欲求充足の介助をおこなう」、これがセックスボランティアの論理だ。

「障害」とは何か。「足が動かない」ことが障害であるのは、例えばそれが「移動を難しくする」からだ。つまり、ある種の身体的精神的特徴はある目的との関連において初めて「障害」になり得る。目的との関連から離れたならそれは障害ではない。単なる中性的な特徴に過ぎない。

では「性欲の充足」という目的との関連から「障害」となり得る身体的・心理的特長にはどのようなものがあるか。麻痺や知的障害は該当する。本書の対象となるのは主にこの種の特徴を持つ方々である。ではそれだけか。例えば容貌はどうか。異性に好まれない容貌をしている者は性欲の充足が困難だ。この時「醜い容貌」は「障害」と看做しうるか。看做しえないとしたら何故か。麻痺も容貌もそれ自体は単なる身体的特徴である。そしてどちらも性欲の充足を困難にする。ならば前者を障害と見做し後者を看做さないのはなぜか。「後者は自慰が可能だから」だろうか。だが本書で提示されている介助の視野は性交にまで及ぶ。ならば性交を困難にする特徴をも「障害」に含めなければならない。論理的には、両者とも介助の対象に包含されるはずである。違和感を感じないだろうか?

本書はよくできたルポである。しかし「障害」や「障害者」の捉え方が一面的ではないか。「障害」とはある特徴が何らかの目的との関連において帯びる「意味」であり、その特徴の「本質」ではない。本書からは身体麻痺者や精神遅滞者はその本性からして障害者であると看做す態度を看取できる。性介助は不要だと言っているのではない。ただ介助を促進しようとするならば、一面的な障害者観を脱却する必要があるように思われた。

貢献度は大きい
本書が出て以来、障害者に関する性風俗の書籍が一気に出回るようになった。
そういった意味で、この本が破ったタブーというものは大きいと思う。
ただし内容に関しては、堅実なものであって、障害者の実態を知る者には多少の物足りなさはある。
もうすこしルポタージュのみでなく、著者の感じた思いを文章に込めて欲しかった感が残った。

性的欲求も基本的人権のひとつ
読んでいて苦しかった。本書の主役は、ボランティア活動をする側と受ける側の双方から、人のぬくもりを求め、生きる喜びを見出そうとする苦悩が伝わってきた。読み進むうちに、性的欲求は基本的人権のひとつであり、これは結局は人権の問題なのではないかという思いに何度も捉われた。著者は意欲的に取材を行い、多くの言葉を引き出し活字にした。性と真正面から向き合い、「性とはかくも生と切り離せないものか」と結んだ著者に賛辞を送りたい。